お手伝いをしない子への声かけ:「やらせる」をやめて「報告させる」

お手伝いを頼んでも動かない。何度も言ううちに、親のほうが疲れてしまう。

やる気の問題に見えても、頼み方と終わったあとの返し方には、変えられるところが残っています。

この記事では、お手伝いをしない理由ごとの声かけの変え方と、「終わったら教えてね」と報告してもらう言い換えの例をまとめました。

お手伝いをしない理由と、声かけの変え方

「やる気がない」と決める前に、どこでつまずいているかを分けて見ると、変える場所が見えてきます。

やらない理由 年齢の目安 変え方
何を頼まれたか分からない 未就学が中心 物と場所を 1 つずつ示す
やり方が分からない 初めてなら全年齢 大人がやって見せる
量が多い・求める出来が高い 全年齢 量を減らして頼む
遊びから切り替えにくい 全年齢 始める時間を相談する
失敗を指摘されて嫌になった 全年齢 したことを言葉で返す
誰の仕事か決まっていない 主に小学生 担当と時間を決める
頼まれ方や分担に不満がある 主に小学生 まず理由を聞く
興味がわかない 全年齢 材料選びから一緒に

どの理由に当たるかは、落ち着いているときに「何がいやだった?」と本人に聞くと見えてきます。

年齢は目安です。同じ年齢でも、その家事をしたことがあるかどうかで変わります。

「やらせる声かけ」を「報告してもらう声かけ」に言い換える

思わず言ってしまいがちな言葉を、言い換えた例です。ポイントは、何をどこまでするかを具体的に言うことと、終わったら教えてもらうことの 2 つです。

  • 「ちゃんと片付けて!」→「床の積み木をこの箱に入れてね。入れたら見せてね」
  • 「早くお手伝いして!」→「箸を並べるのとタオルをたたむの、どっちにする? 終わったら教えてね」
  • 「お姉ちゃんはできるのに!」→「今日はこのタオルをたたんでみよう。できたら見せてね」
  • 「手伝わない子は嫌い!」→「食卓を使うから、ここを拭いてほしいな。拭けたら教えてね」
  • 「洗濯物を全部片付けて!」→「まず靴下を同じ組にしてね。そろったら教えてね」
  • 「何回教えたら分かるの!」→「最初の 1 枚は一緒にたたもう。次をやって、できたら見せてね」
  • 「言われる前にやりなさい!」→「夕食前の箸並べを担当にしない? 並べたら教えてね」
  • 「まだ終わってないの?」→「どこまでできたか教えて。残りは一緒に確かめよう」

具体的に頼めば、子どもは何をすればいいかが分かります。アメリカの公的な保健機関CDCの子育ての手引き (2024 年) も、一度に一つの行動を伝えるよう勧めています。

終わりを知らせてもらえば、親が取り組みを見逃さずに済むのも利点です。相談室つぼみの和久井さんへの取材記事 (2025 年) でも、終わりを知らせてもらう工夫が紹介されています。

3〜5 歳で一度に覚えきれないときは、頼む言葉だけを先に言います。終わったころに親から「見せて」と声をかける形でも同じです。

報告されたら、見たことをそのまま言葉にする

報告を受けたら、「えらいね」に加えて、見たことをそのまま言葉にして返します。

  • 「箸がみんなの席に並んだね」(できた結果)
  • 「靴下を同じ組に分けたんだね」(した工夫)
  • 「タオルをたたみ始めたね」(取りかかったこと)
  • 「分からないところを教えてくれたね」(助けを求めたこと)
  • 「テーブルを拭いてくれたから、お皿を置けるね」(役に立ったこと)

何をしたかが分かるほめ方は、CDCの手引きでも勧められている方法です。

直してほしいところがあるときは、「ありがとう。ここは一緒にやろう」と、お礼を先に言ってから伝えると角が立ちにくくなります。

それでも動かないとき、家庭ではどうしている?

頼み方を変えても、すぐに動くとは限りません。保護者の事例では、次のような形でつまずいています。

  • 穏やかに頼んでも断られる
  • 頼めばするが、不機嫌になる
  • 手伝うたびに「見てほしい」と求める

子育て情報サイトのママスタセレクトに載った相談では、小学 3 年の子が優しく頼んでも配膳を断っていました。小学 5・6 年の子が、頼めばするものの不機嫌になるという相談もあります。

育児メディアのベビーカレンダー (2023 年) に載った体験では、4 歳の長女が手伝うたびに「えらい?」と聞いてきました。

親がそのたびに答えるようにすると、積極的に手伝うようになったそうです。

浜松市の子育て情報サイトぴっぴのアンケート (2021 年) には、工夫も寄せられていました。先にやって見せる・片付けは箱に入れれば済む形にする、といったものです。

断られたときは、無理に続けず、表に戻って理由を探すほうが近道です。見てほしいという気持ちには、終わったあとの一言で応えられます。

よくある疑問

Q. 報告を忘れるときは?

A. 報告できなくても、やってくれたことは変わりません。親から「どうだった?」と聞きに行けば十分です。

Q. 「えらいね」と言ってはいけない?

A. 言ってかまいません。「箸が並んだね、えらいね」のように、見たことを一言足すと伝わりやすくなります。

Q. しぶしぶやって、態度が悪いときは?

A. したことにはお礼を言い、不満の理由は落ち着いてから聞きます。態度と行動を分けて扱う形です。

Q. 何をしても嫌がるときは?

A. 少し時期を置いて、別の役割を相談する方法もあります。生活全体で困りごとが続くときは、園や学校、自治体の子育て相談窓口で相談できます。

最初の一歩は、明日の夕食で「箸を並べたら教えてね」と一度だけ言ってみることです。

報告してもらう形の難点は、親が忙しいと聞き逃しやすいことでしょう。終わったら見せに来る場所を決めておくだけでも、聞き逃しは減ります。

お手伝い記録アプリのできた帳では、子どもが「できた!」と報告し、保護者が承認する流れがそのまま画面になっています。

参考